2005年01月18日
メモ36「政治家の番組介入(?)」とか

NHKのドキュメンタリー放送に際して、政治家から「こんな番組内容は良くない」とクレームがあったという件についていろいろ。
ポイントをいくつかに絞って考えてみることにする。
・NHKへの圧力は本当か?
既に各地で話題になっていますが、「政治家の安倍氏らがNHKに対して不法な圧力を加えた」という報道が朝日新聞からされているらしい。事の経緯はだいぶ明らかになってきていて、後は各証言を比較してどちらの理が通っているかは、各自の判断次第という段階に来ている。
前のコメント欄でも書きましたが、人間は絶対的な中立や客観性を持つことなど出来ない生き物です。ですから、その「偏向」を自覚した上で情報を好き嫌い無く目を通し、分析していく必要があります。願望や個人の好き嫌いを判断に優先させては、正確な理解など出来はしないのですから。
僕がこの問題でポイントにしたいのは、以下の通り。
「安倍氏らの『圧力』によって番組内容に修正が加えられたのか?」
「NHKは制作会社の作った番組主旨をそのまま受け入れるべきなのか?」
もう一つ付け加えるとしたら、
「政治家が何らかの形でコメントすることは許されるのか?」
……になる。
従軍慰安婦問題は、既に国内での議論は終結していると言ってよい。この番組が放送された4年前の時点でも、ほとんど下火となっている状況だった。そこで「最後の反撃」として開催されたのが「民衆法廷」と称して従軍慰安婦問題を追及するイベントだった。
これは主催団体が認めた人間以外の出入りが認められず、「週刊金曜日」などの一部メディアか市民団体の者しか傍聴出来なかった。慰安婦問題に詳しい秦教授も入ることが出来なかったことを、当時の「正論」で記事にしている。
「民衆法廷」といっても、実際の裁判のように議論が争われることもなく(弁護人役は居なかった)、「性奴隷を作り出したのは天皇の責任である」という「判決」を出して閉廷という自己満足ショーだったのだ。
同じ考え方の人間だけが集まっている会場で、居ない「被告」を裁くというイベントは「公平」な主張と言えるのだろうか。「落書き裁判」でも感じたことだが、支持者と一般層の価値観は大きく隔絶しているようにしか考えられない。
とりあえず、放送は「中立公正」を建前としている以上、NHK側が放送する予定の番組をチェックするのは当然のことです。脚本の一部訂正と秦教授からのインタビューの追加なども、バランスの範囲内でしょう。しかし、主催団体はそれに反発するコメントを残しています。
>もし、NHKが主張しているように、外部の圧力もなく、あってもそれに関係
>なく、NHKの独自の自主的な判断であのような番組を制作したとしたら、N
>HKが「慰安婦」制度などの戦争責任を認めない立場であることを表しており、
>かつて大本営発表機関であったNHKの戦争協力の過去へ の反省がないのかと
>怒りを憶えます。
NHKという局自体が、特定の立場を表明する事はあり得ません(少なくとも建前上は)。番組を流すのと主旨に賛成するのは別物だという事を理解していなかったようです。
該当記事にもあるように、当時の対立は市民団体vsNHKであり、政治家の圧力などは話題になっていませんでした。
なぜ現在になって、「安倍氏や中川氏の圧力があった」としてクローズアップされるようになったのか。そこにまず疑問を感じています。
自らの主張に否定的な見解を混ぜることは許さぬとする市民団体側と、それに苦慮していたNHKの図式は前述の通り。「慰安婦」問題の一連の流れを観てきた者としては、この問題に関しては「市民団体」の側に非があると考えます。放送機関は出来事を伝えるためにあるのであって、特定の政治思想などを主張するためにある訳ではないからです。
その立場の違いを自覚していなかった点に、問題があったのではないでしょうか。彼らの主張が一般に受け入れられなかったのも同様の理由かもしれません。
「安倍氏の圧力」に関しては、当の市民団体が否定している。NHKのチェックも職務上の当然のこと。そして、彼らの接触に関わりなく再編集が進んでいた事も、既にNステなどの報道番組で明らかになっている。
こうなってくると、後は「政治家がコメントする事は許されるのか?」という一点に絞られる。
証言の通りなら、番組制作に介入しない限りは全く問題がないと思います。
今回の最大の問題点は、長井プロデューサーを「被害者」とし、元の番組内容をあまり説明しないままにして、「政治家が放送へ介入した」とする報道のやり方です。
この疑惑を解決する方法が一つあります。
深夜枠を利用して当該番組を再放送すれば、この問題は一気に解決するでしょう。かつての「市民団体」が要望通りにする事が、彼ら自身の自滅と疑惑の解決へと繋がるはずです。
既に各地で話題になっていますが、「政治家の安倍氏らがNHKに対して不法な圧力を加えた」という報道が朝日新聞からされているらしい。事の経緯はだいぶ明らかになってきていて、後は各証言を比較してどちらの理が通っているかは、各自の判断次第という段階に来ている。
前のコメント欄でも書きましたが、人間は絶対的な中立や客観性を持つことなど出来ない生き物です。ですから、その「偏向」を自覚した上で情報を好き嫌い無く目を通し、分析していく必要があります。願望や個人の好き嫌いを判断に優先させては、正確な理解など出来はしないのですから。
僕がこの問題でポイントにしたいのは、以下の通り。
「安倍氏らの『圧力』によって番組内容に修正が加えられたのか?」
「NHKは制作会社の作った番組主旨をそのまま受け入れるべきなのか?」
もう一つ付け加えるとしたら、
「政治家が何らかの形でコメントすることは許されるのか?」
……になる。
従軍慰安婦問題は、既に国内での議論は終結していると言ってよい。この番組が放送された4年前の時点でも、ほとんど下火となっている状況だった。そこで「最後の反撃」として開催されたのが「民衆法廷」と称して従軍慰安婦問題を追及するイベントだった。
これは主催団体が認めた人間以外の出入りが認められず、「週刊金曜日」などの一部メディアか市民団体の者しか傍聴出来なかった。慰安婦問題に詳しい秦教授も入ることが出来なかったことを、当時の「正論」で記事にしている。
「民衆法廷」といっても、実際の裁判のように議論が争われることもなく(弁護人役は居なかった)、「性奴隷を作り出したのは天皇の責任である」という「判決」を出して閉廷という自己満足ショーだったのだ。
同じ考え方の人間だけが集まっている会場で、居ない「被告」を裁くというイベントは「公平」な主張と言えるのだろうか。「落書き裁判」でも感じたことだが、支持者と一般層の価値観は大きく隔絶しているようにしか考えられない。
とりあえず、放送は「中立公正」を建前としている以上、NHK側が放送する予定の番組をチェックするのは当然のことです。脚本の一部訂正と秦教授からのインタビューの追加なども、バランスの範囲内でしょう。しかし、主催団体はそれに反発するコメントを残しています。
>もし、NHKが主張しているように、外部の圧力もなく、あってもそれに関係
>なく、NHKの独自の自主的な判断であのような番組を制作したとしたら、N
>HKが「慰安婦」制度などの戦争責任を認めない立場であることを表しており、
>かつて大本営発表機関であったNHKの戦争協力の過去へ の反省がないのかと
>怒りを憶えます。
NHKという局自体が、特定の立場を表明する事はあり得ません(少なくとも建前上は)。番組を流すのと主旨に賛成するのは別物だという事を理解していなかったようです。
該当記事にもあるように、当時の対立は市民団体vsNHKであり、政治家の圧力などは話題になっていませんでした。
なぜ現在になって、「安倍氏や中川氏の圧力があった」としてクローズアップされるようになったのか。そこにまず疑問を感じています。
自らの主張に否定的な見解を混ぜることは許さぬとする市民団体側と、それに苦慮していたNHKの図式は前述の通り。「慰安婦」問題の一連の流れを観てきた者としては、この問題に関しては「市民団体」の側に非があると考えます。放送機関は出来事を伝えるためにあるのであって、特定の政治思想などを主張するためにある訳ではないからです。
その立場の違いを自覚していなかった点に、問題があったのではないでしょうか。彼らの主張が一般に受け入れられなかったのも同様の理由かもしれません。
「安倍氏の圧力」に関しては、当の市民団体が否定している。NHKのチェックも職務上の当然のこと。そして、彼らの接触に関わりなく再編集が進んでいた事も、既にNステなどの報道番組で明らかになっている。
こうなってくると、後は「政治家がコメントする事は許されるのか?」という一点に絞られる。
証言の通りなら、番組制作に介入しない限りは全く問題がないと思います。
今回の最大の問題点は、長井プロデューサーを「被害者」とし、元の番組内容をあまり説明しないままにして、「政治家が放送へ介入した」とする報道のやり方です。
この疑惑を解決する方法が一つあります。
深夜枠を利用して当該番組を再放送すれば、この問題は一気に解決するでしょう。かつての「市民団体」が要望通りにする事が、彼ら自身の自滅と疑惑の解決へと繋がるはずです。
Posted by noraneko at 01:05│Comments(3)
│政治/戦争責任
この記事へのコメント
「マリンブルーの風」さんでも取り上げられています。過去の経緯で記憶が曖昧だったところを参考にさせていただきました。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
Posted by 野良猫 at 2005年01月18日 01:22
愛蔵太さんのサイトでも取り上げている模様。コメント欄にうしさんが。前に質問をすっぽかされて以来だなあ……。
Posted by 野良猫 at 2005年01月18日 01:52
>今回の最大の問題点は、長井プロデューサーを「被害者」とし、元の番組内容をあまり説明しないままにして、「政治家が放送へ介入した」とする報道のやり方です。
サンプロの「欠席裁判再現生放送」も見事でしたね。冤罪ってこうやって創られるのかと納得することしきりでした。
あちらこちらでも「政治的圧力」という事実無根の印象伝聞が流れ始めてます。きっちり片を付けたいところです。
サンプロの「欠席裁判再現生放送」も見事でしたね。冤罪ってこうやって創られるのかと納得することしきりでした。
あちらこちらでも「政治的圧力」という事実無根の印象伝聞が流れ始めてます。きっちり片を付けたいところです。
Posted by ゲスト at 2005年01月19日 02:02
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