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noraneko

2004年09月11日

メモ14「続・百人斬り考察」

前回に続いて「百人斬り」についての考察をメモ。東京裁判とイラク戦争の話題も若干。
 前レスにゲストさんが紹介されていた「資料」が紹介されているサイトを拝見。
 再度確認していくと、当時の新聞報道では彼らが陣地に斬り込んで戦果を挙げた事になっている。そして、終戦後の裁判では、この新聞が証拠資料となって死刑判決を受けたのは承知の通り。
 当時の裁判は報復的要素が強く、でっちあげで死刑になった者が多いことも周知の事実だ。英軍・オランダ軍・そしてソ連軍の捕虜虐待がひどかったことは、「アーロン収容所」に限らず、多くのエピソードが語られている。TIMEの表紙にもなった、日本兵の頭蓋骨をオブジェとして飾る少女なども有名だ(出征先の家族から送られたものらしい)。植民地支配が当然だった当時は、今の日本人には想像出来ないほど西欧人が有色人種を差別していた事も視野に入れておくべきだろう。

 話を戻す。前にも書いたように、彼らの役職上自ら最前線に立つ可能性は少ない。すなわち、彼らもまたプロバガンダ記事を元にして報復裁判の露と消えた犠牲者……、という考えにたどり着く。
 しかし、それでは中国と日本の「被害者と加害者」という固定された関係が崩れてしまう。それでは困る人々が「百人斬りは実は捕虜・民間人を斬ったものだ」として再反論しているのが現状だ。

 こちらが否定的な理由としては、該当記事のように砲兵の小隊長や大隊副官が斬り込む可能性が無いこと。上海から南京に至る追撃戦の最中に、延々と捕虜をなで斬りにする時間的余裕・人員的余裕が無いことを挙げる
 そして、本人の自白調書は必ずしも決定的証拠では無いこと。大量の殺害を時系列で把握できる物証・証言が乏しい事、当時の戦勝国は自らの側を「善」とするために政治的に「悪」を求めていた事を考慮すると、やはり「百人斬り」は虚構だったと断定せざるを得ない。あるはずだ・あって欲しいと願う人々には申し訳ないが、これが現代の裁判だったなら違う結果が出ていただろう。
 東京裁判の際、原爆投下やマニラでの無差別砲爆撃に関する米国側の責任を、日本側弁護士だったブレイクニー弁護士は議題に取り上げようとしたが、ウェブ裁判長に拒絶されている。それでもなお、彼が原爆に触れた発言の部分は通訳されず、映画「東京裁判」が発表されるまで日本人が知る機会は無かった。

 向井少尉・野田少尉ともに捕虜住民の虐殺を否定した遺書を残している。それを「悪人がしらじらしい」と鼻で笑うことは簡単だが、現在より公正を欠いた形で裁かれた事を忘れてはいけない。
 僕はフセインの裁判がどのように進むのか楽しみにしている。既に公開されたテープでは、いくつかの音声が編集で削除されているそうだ。米国は日本での成功に味をしめ、イラクでも同じような事をしているらしい。
 イラクの現状は、かつての日本の合わせ鏡になっている。米国側の歴史観を注入された状態で、その場限りの「反米」を訴えるのではなく、日本独自の立場を自覚して対峙する姿勢が求められている。

 そんな風に考えている。「ネット右翼」という類いの「意見未満」の否定を貰えるのは、むしろ自分が独自の思想的位置を得ているという目安になるので助かる。
 これからも是非お願いしたい限りです。

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この記事へのコメント
本多勝一が「百人斬り」そのものについて過ちを認めないとしても、二人の少尉を実名報道する事によって、彼らの子供達が家庭崩壊を起こした「報道被害」に関しては、素直に謝罪するべきだろう。本多勝一はミスリードも多かったが、山岳関係の記事などの功績も多かった人だ。彼はいつしか南京の「30万人説」を引っ込めてしまったが、今回はそのような事はせず、報道に携わる人間として最低限のラインは守るべきだろう。
僕に限らず、かつての読者たちは、本多勝一が自らに対してどれだけ厳しくふるまえるかを見守っているのだから。
Posted by 野良猫 at 2004年09月11日 21:59
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