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noraneko

2004年09月09日

メモ13「証言」の信憑性とか

メモ12で触れていた、「死ぬのは」さんの「百人斬り」に関する記事に対してトラックバック。
 長文になってしまったので、こちらでレス。南京事件・百人斬りに関しての実質的議論は終わったと見ていましたが、そうでもなかったようです。
 この対立形式は、前に東京BBSでした議論の時と同パターンですね。こちらが時期的・また役職として「百人斬り」は不可能であり、追撃戦の最中に大量の捕虜虐殺をする余裕がないと主張するのに対し、「当人が証言している」と主に「証言」を重視して虐殺があったと反論が述べられている。

 再度述べますが、物理的に不可能です。記録数を競うとすれば、他人を介さずに全て己の手で処刑しなければならない。常日頃から弾薬の節約を求められている日本軍では、機関銃のような銃器は使えないし「斬り」にならない。日本刀は業物であったとしても、血糊と脂で汚れる上に数人斬れば曲がってしばらく使えなくなってしまう。
 足利義輝が三好三人衆に御所を襲われた際、銘刀十数振りを畳に突き刺して次々に取り替えて戦ったエピソードは、日本史好きなら知っている者も多いでしょう。
 ならば、銃剣ということになるが、これにしても切れが鈍っていくから何度も突かねばならない。
 半分の五十人と考えても、一体何時間かかるだろうか。そして、その間に捕虜がおとなしく斬られるのを待っているだろうか。彼らを取り押さえておくとしたら、数倍の人数の日本兵が監視していなければならないが、その間の戦線維持はどうするのか……? そんな疑問点を解消してくれた方は今のところ居ませんでした。

 ほかにもいくつか疑問はある。
 便衣兵ならともかく、明らかに民間人を大量に殺害したとすれば、明らかな国際法違反となるだけに隠蔽も難しい。だから、当時の第10軍が軍法会議にかけていなければおかしい。松井軍司令官は中国通として知られ、興亜観音を建立したほどの人物で、隠すよりは厳罰に処することで日本軍の正当性をアピールしたはずだ。
 しかし、南京攻略後の外国人記者団とのインタビューなどでも「百人斬り」に関する話題は出ていない。仮に日本側が隠したとしても、現地に居た記者団が集団虐殺のニュースを聞かないとは考えにくい。

 つまり、問題にならなかったのは隠蔽されていたからではなく、戦意高揚のプロパガンダ記事というものは威勢のいい内容を書くことが前提で、物理的事実とかけ離れたものだと当時の人間は誰でも知っていたという事だ。沖縄で沈んだ戦艦大和が「片道燃料」と歌われながらも、実際は3〜4往復出来るだけの燃料を与えられていたように、威勢よく振る舞うために「百人斬り」の歌を作ったとしても、別に不思議ではない。
 現代の私達の視点ではなく、当時の感覚で差し引いて見ない限り、自分の欲しい結論に導いてしまう危険は避けられないでしょうね。

「百人斬り」はそんなに難しい問題ではない。当時の新聞社がプロパガンダ記事だった事を認め、本多勝一が検証を怠って記事にしてしまった事を謝罪すれば済む。
 戦意高揚のネタを捜していた新聞記者に名前を貸した為に「有名人」となってしまい、その為に威勢のいい内容の「公演会」をする羽目になり、戦争が終わってみればその新聞記事を証拠として、戦勝国の報復裁判の露と消えた人達……。
 戦争責任の問題と重なってややこしくなってはいるが、これは純粋な「報道被害」です。

 松本サリンの河野さん、イラク人質事件の三人への報道被害を批判するのであれば、もう一度「百人斬り」に関して再検証する必要があると考えます。

トラックバック:

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