今回、記録として残すためあえて全文引用する。
>第二次大戦中、多くの満蒙開拓団関係者が亡くなった旧満州(現中国東北部)
>で、長野県の遺族らでつくる「県開拓自興会訪中団」が今月計画した慰霊式が、
>中国の省政府の要請で中止になった。理由は「中央政府の意向」というだけ
>だが、北海道の訪中団でも8月に同様の事例があった。中国で高まる反日感情
>を背景に「国民世論を刺激したくない」との意向が反映したとみられ、中国側が
>民間の慰霊行事にも神経をとがらせている状況が浮き彫りとなった。
>
>訪中団は長野県の元開拓団員や遺族ら97人で、1〜6日に中国を訪問した。
>2日に黒竜江省方正県にある日本人公墓(共同墓地)で、読経などの慰霊行事を
>行う予定だったが、前日に省政府が行事中止を要請。訪中団役員は政府側と交渉
>したが認められず、当日、団員に中止を伝えた。墓前での写真撮影や献花なども
>禁止された。
>
>現地ガイドの話などによると、中国では、小泉純一郎首相の靖国参拝、尖閣諸島
>の領有権問題などを受け、反日感情が高まっている。式典中止には「慰霊式を許
>可することで、国民世論を刺激したくない」との中央政府の意向があると
>みられる。
>
>長野県訪中団は95年以来、今回で3回目。前回00年は問題なく慰霊式典が
>行われた。59年ぶりに訪中した参加者の男性(71)は「満州で両親を失った。
>線香1本あげられないなんて」と落胆した様子で話した。
>
>外務省中国課には、北海道の訪中団でも同様事例の報告があった。同訪中団に
>よると、8月15日に同公墓で慰霊式を行う予定だったが、方正県への立ち入
>り自体を禁じられた。主催者は「現地ガイドから『黒竜江、吉林、遼寧省の東
>北部3省の旅行社に、訪中団に慰霊行事をさせないよう、政府の通達があった』
>と聞いた」と話している。【川崎桂吾】
>
>毎日新聞 2004年9月9日 3時00分
>
これは靖国参拝や尖閣諸島の問題に対する、中国政府の報復措置と解釈した方がいいだろう。有り体にいえば、「我が国の意向に逆らうなら、墓参りすら許さない」という事だ。個々の問題を厳密に論じることなく、こういう形で意趣返しをする国家に対して、どうすれば対等な「友好関係」を築けるのだろうか。
思えば、李登輝前総統の病気療養で来日した際にも、同じような圧力があった。彼らの国では「政治」のみが優先され、人道的見地や最低限の互いを尊重する意思などは無いらしい。
日頃、「中国と仲良くするべきだ。日本は戦争責任を感じないから仲良くなれないのだ」と意見する方々に問いたい。現在、中国側の主張を全て受け入れれば「日中友好」は成り立つのだろうか。互いに譲り合い支え合う「友情」は国家間に成立するのだろうか。
政治とは関係ない日本人が、家族への墓参りを我慢してまでも「日中友好」は優先させられるべき題材なのか。もしそうだとしたら、日本という国にどのようなメリットが得られるのだろうか。そこが僕には解らないのだ。
世界では戦争が絶えることはないが、他国の慰霊行為に干渉するのは中国と朝鮮だけだ。そろそろ、最低限の礼儀を欠いているのは彼らの方だと、口にしてもいいのではないか。
もしかすると、「祖先への敬意を犠牲にすることで誠意を見せ、中国や朝鮮と真の友好を結べる」という意見もあるかもしれない。おそらく、そういう方は自分の家の墓も平気で壊せる人なのだろう。
だが、僕はそこまでして「善人」とか「良心的日本人」とは呼ばれたくはない。